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別荘売却までに知っておいてほしい売れない理由と需要の変化

いえらぶコラム編集部

別荘売却までに知っておいてほしい売れない理由と需要の変化

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週末は都会の喧騒から離れ、静かなリゾート地で非日常的な時間を過ごしリフレッシュする。

今から、40年ほど前、日本は高度経済成長期の真っ只中、こういった生活に憧れを持つ方が大勢いました。

それに応えるように熱海や箱根、軽井沢など、人気のリゾート地では多くの別荘が建築され供給されることとなります。

しかし、バブル崩壊に端を発した、長く続く不況の時代には、かつての別荘人気は下火になり今では、その面影を見ることもありません。

そういったリゾート地に別荘を所有するオーナーさんのなかには売却を視野に検討されている方も少なくありません。

しかし、売却において、別荘は自宅に比べ、税制上の待遇が受けられず、買い手の需要も限定的なため、損失を被ってしまったり、なかなか売れないこともあります。

この記事では別荘の売却を検討されている方に税制上の仕組みや売れない理由、今後の展望など、事前に知っておいてほしい内容をまとめました。

税制上の優遇措置を受けることができない別荘の売却

税制上の優遇措置を受けることができない別荘の売却

通常、不動産の売却で利益が出た場合、課税の対象となります。

しかし、居住用財産(自宅など)の売却益は特別控除の対象となるため、多くの場合、実質非課税となります。

同様に、万が一、居住用財産の取引において損失が出てしまった場合でも、他の収入と損益通算できるため、納税額を抑えることができます。

しかし、別荘の売却に、これらの滝用はありません。

3000万円の特別控除は別荘の売却に適用されない

生活に必要不可欠な住宅の流通を妨げないように、自宅などの居住用財産の取引では、税制上、いくつかの優遇措置が用意されています。

3000万円の特別控除もそのひとつです。

たとえば、売却益(売却収入額-土地取得費+建物取得費-減価償却費-譲渡費用)が3000万円を下回る場合、所得税・住民税・復興特別所得税などを支払う必要がありません。

しかし、これは別荘売却の場合、適用されません。

損益通算も別荘の売却に適用されない

不動産の売却では利益が出ることばかりではありません。

もし、売却によって、損失を被ることとなっても、自宅などの居住用財産であれば、損益通算が可能です。

損益通算とは、自宅の取引きで損失がでたとしても、他の給与収入や事業収入があれば、それらと相殺することができ、結果的に制菌の還付が受けられるというものです。

しかし、残念ながら、これも別荘売却の場合は対象とはなりません。

贅沢品である別荘ではこういった税制上の優遇を受けることができないため、積極的に取引きされづらい状況にあります。

別荘の売却がしにくいと言われる理由

別荘の売却がしにくいと言われる理由

別荘の売却がしにくいと言われるのは税制上の優遇が受けられないことだけが理由ではありません。

別荘で生活できるようにするためのメンテナンスや維持していくための費用など、目に見えない費用が掛かってしまうことも理由として挙げられます。

修繕が必要なメンテナンス不足の別荘

バブル期に建築された別荘は、30~40年ほどの築年数を迎えることになります。

通常、建物は定期的なメンテナンスを必要としますが、長い間、人が住んでいない別荘などでは、そういったメンテンナスがおこなわれておらず、不具合を抱えていることもあります。

そういったメンテナンス不足の結果、屋根や外壁、基礎などで不具合が発生してしまうと、雨漏りやシロアリなど、改善に大掛かりな工事が必要です。

そういった場合は購入費用とは別に修繕費用を確保しなければならず、前向きに検討しづらい理由のひとつとなっています。

立地の悪い別荘への需要は限られる

もともと、非日常的な空間を味わうために建てられた別荘はリゾート地や観光地、避暑地などに多く建てられました。

しかし、時代の移り変わりとともに、別荘を取り巻く周辺環境は大きく変化しました。

立地の悪い別荘などでは、近くにお店がないため、日用品や生活必需品などを確保するために車で遠くまで買い出しに行かなければならないこともあります。

そういった別荘を希望する方は限られているため、需要は限定的です。

維持費が必要な別荘は敬遠される

別荘の性質上、快適な環境を得るために、維持費が高額になっているものもあります。

たとえば、温泉地では別荘まで温泉が引かれていて、自治体に対して温泉利用料を支払う必要があります。

また、人気の避暑地などでは、建物が古くなっても土地の価値は下がらないため、毎年、安くはない固定資産税の支払いが必要です。

さらに、利用が少ない場合、建物の傷みの進行が早まってしまいます。

そのため、別荘に近い業者へ依頼して空気の入れ替えや水栓の開閉、敷地の草刈りなど、維持・管理業務を必要とすることもあります。

それらの維持費も別荘購入を検討しづらい理由となっています。

実は高まっている別荘の需要

実は高まっている別荘の需要

とはいえ、長らく富裕層の嗜みや金持ちの道楽とのイメージが強かった別荘に異なった需要が生まれ、人気の高まりを見せています。

それらのあらたな需要をご紹介いたします。

田舎暮らしに憧れる方々の需要

今までは定年後のセカンドライフとしての地方へ移住して田舎暮らしをするという方が多くいました。

しかし、最近では結婚や出産転勤や転職など、ライフステージの転換期に田舎暮らしを始めたいと考える若い世代の方々が増えているようです。

そのため、自然豊かな環境で子育てをしたい、田舎で農業をしながら暮らしたい、山登りや釣りなど趣味に多くの時間を裂きたいなど、それぞれの目的に合わせた別荘を購入するという需要が増えています。

2拠点生活を楽しむ方々の需要

多様な働き方が増え、2拠点生活(デュアルライフという新たな生活スタイルを望む方々の需要もあります。

これは平日は都心で働き週末は地方で暮らす(週末移住)や週の半分を都心で、残りの半分を地方で暮らす(多拠点生活)などをされる方々の増加が背景にあります。

別荘を本拠にして、都心では安価な賃貸物件を借りることで、精神的な安定と経済的な安定を両立することができます。

また、自治体によってはこれらの地方移住をする方向けの補助金を設定しているとこともあります。

自治体としては移住者が増えることで過疎化や人手不足の解消、経済の活性化などに期待ができるため、大きなメリットがあるからです。

リモートワーク、ワーケーションの需要

コロナ禍により新しい生活様式が求められるようになって以降、出勤する必要のない会社や月に数度だけ出勤すれば良い企業など勤務形態にも大きな変化が訪れました。

それに伴い、リモートワークやワーケーションといった言葉を耳にする機会が増え、都心に一極集中していた人口も地方への分散が見られます。

この住む場所に囚われない生活を過ごす方々によって、改めて別荘の評価が高まってきています。

それに呼応するように各地方自治体では、古くなった建物をリノベーションしてコワーキングスペースを企画したり、オンラインオフィスに企業を誘致するなど活発な活動がおこなわれています。

まとめ

かつて、多くの方の羨望の的だった別荘は時代の変化とともにその需要も変化しました。

昔に比べて、別荘を取り巻く環境は決して優しいものではありません。

しかし、多様な働き方が生まれてきたことで、田舎暮らしに憧れる方やデュアルライフを楽しむ家庭など、別荘への需要は少しずつ高まっています。

これらの潮流を捉え、別荘の売却が満足いくものになることを願っております。

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