インタビュー

「西新宿の新たな賑わい」住友不動産株式会社 鈴木さんインタビュー

  • faebook
  • ツイッター


西新宿、都庁の隣に建つ新宿住友ビル、三角ビルとして長く愛されてきたオフィスビルですが、一階には約2,000人規模のイベントが出来る屋内スペース「三角広場」があることをご存知ですか?本日は三角広場の運営を担当する住友不動産株式会社新宿事業所賑わい担当の鈴木貴絵さんにお話を伺いました。

【前半動画】


【後半動画】

YouTubeリンクはこちら 前編後編

建て替えによらない、新たな賑わい

――三角広場について聞かせてください


新宿住友ビルの1階には2つの三角ビル(1974年と2020年)の模型があります

三角広場がある新宿住友ビルは1974年に、日本で初めて200mを超えた超高層ビルとして誕生しました。足元部分に広場があり、プールもあるスポーツクラブやカルチャーセンター、展望レストランや無料の展望台があり、当時は一大観光名所だったんです。

昭和から平成、令和へと時代が移り変わり、オフィスビルとしての役割は十分に果たしているものの、都心エリアには超高層ビルが珍しくなくなり、隣に建った都庁に展望台もでき、賑わいの薄れたビル足元空間を一新する必要性を感じていました。

有事の災害対応対応力や、平時の賑わい活性化といった西新宿の街全体の機能強化に貢献するべく、リニューアル構想の核になったのが三角広場です。ビルの足元にあった公開空地に大きなガラスの屋根をかけて雨風が入らない空間を作り、365日利用しやすいような空間を設けました。有事の際には帰宅困難者の一時滞在施設として2,850人の人を受け入れられる大空間となっています。

‐‐リノベーション前と比べて変わったことは何でしょう?



三角広場は、ビルのエントランスを兼ねているのでお客様には「新築かと思った」といわれることもあります。一番大きいのは、以前はビル風がものすごく、入居者の方にもご不便をおかけしたところが、天候に左右されない駅直結の大空間を活用できるようになったということですね。

‐‐三角広場ならではのポイントはありますか?

まず、オープン空間というところですね。オープンかつ室内でこの広さ、しかも柱がない空間というのはとても珍しいかなと思います。564インチの4Kビジョンを常設しているのは、都内でも非常に珍しいですし、天井も明るく、空が広く見えるのもポイントです。

‐‐柱がなくて空が広く素敵ですよね



ありがとうございます。ビルの外側に斜めに入った黒い柱があり、2つの大きなフレーム、そして、北側広場の大きな屋根面につながるビーム梁で支えており、目立つ柱はありません。駅舎などでよく見るトラス構造ですと、部材が交差する部分が多く見上げたときに空が見えづらくなってしまうので、このような「青空を最大限、見えるようにすること。フレキシブルに対応できる、柱のないフラットな大空間とすること」にこだわった構造を採用しています。

--天井高があるので、空調も大変そうです

そうですね、約3mの高さに吹き出し口を設けて、床から4mくらいの高さまでを快適にするような空調設計を採用しています。

真夏に屋根の真下は60-70度になりますが、人がいる高さまでと割り切ることで快適な空間を実現しています。吹き出し口のところ以外に、パンチ壁の穴だったりレンガの隙間から空気を吸い込み循環させています。すべての出入り口が朝5時から24時まで出入りできるので、密閉空間以上の換気ができています。

‐‐4kビジョンも大きいですね!何インチですか?



こちらはイベントなどでの使用を考え、床から3.8mの位置にビジョンの下端を決め、そこに収まる最大サイズ、ということで564インチになりました。

ビジョンの両脇には、まっすぐ前に音が出るラインスピーカーが入っています。ホールの天井も高いですし、床や天井に音が当たると反響や残響が大きくなるので、真っ直ぐ前に音が出るタイプのスピーカーを設置しています。ビル側に設置したリアスピーカーと合わせて全体で6.2chの音響設計ですので564インチの迫力とともに演出としても効果を出しやすい設計です。

‐‐壁面のレンガも印象的ですね



実はこの敷地は1898年に竣工した淀橋浄水場の跡地なんです。1974年の竣工当時にフロアが赤レンガだったのは、淀橋浄水場のプールが赤レンガだったことへのオマージュでした。今回のリニューアルでは、さらに伝統を引き継ぎ、住友発祥の別子銅山ゆかりの「からみレンガ」をイメージしたレンガ壁を設置しました。

また、エレベーターホールの赤御影石は竣工当時のものを残しています。現在では採掘が出来ないものですので、リニューアル時にはすべてを磨き直しました。エレベータ側の壁面に3点の黒ラインが入り、赤御影石の品格が際立つデザインにしています。



また、ご好評頂いているストリートピアノは1974年から住友ホールで使われていました。リニューアル時、まだまだ現役で弾けるということで、催事がないときに弾けるストリートピアノとして楽しんでいただいています。ワシントン条約の発効前だったので、鍵盤が象牙製で非常に弾きごたえがあり、音の響きが違うとの声も頂いています。

ご好評いただいており、ウェブページ上でスケジュールの掲載が遅れると矢のような催促が来るほどです。天井も高く、反響も良いのでピアノを弾かれる方々はそれも含めて楽しんでいただけているのかと思っております。

これからも歴史を紡ぎながら、賑わいのある場所として盛り上げていきたいですね。

‐‐これまで、どんなイベントを行いましたか?



飲食のイベントからスポーツイベント、展示会まで様々なイベントを行ってきました。

ただ、2020年6月オープンの予定で進めていました(実際のオープンは2020年7月)が、コロナ禍が始まった年でもあり、開催できなかったり、人数制限があったり催事が非常に難しい時期が続きました。

2020年に予定されていた世界的スポーツの祭典ではパブリックビューイングなども企画されていたのですが、それもなかなか難しくて…ようやく明るい兆しが見えてきましたので、これから365日24時間の賑わいというところで本来の三角広場の機能を盛り上げていく予定です。

2021年、2022年の年末には「ベルギービールウィークエンド」というイベントを行いました。2022年には訪日中のアストリッド・ベルギー王国王女殿下も来場され、パテック・フィリップのクリスマスツリーの展示と合わせて、非常に盛り上がりのあるイベントになりました。



2023年の1月には羽田エアポートガーデン、有明ガーデンのテナントを中心にTOKYOキッズフェスタ2023を行いました。巨大な恐竜やボーネルンドの遊び場を用意したこのイベントは大人気で、西新宿では普段見たことない数のベビーカーが押し寄せるイベントになりました。ファミリー層に広く知っていただけたのは嬉しかったですね。



‐‐今後のイベント予定を教えて下さい(インタビューは2023年2月)

皆さんが来て楽しんでいただけるようなイベントを中心に誘致しています。



2023年4月22日、23日には三角広場では2度目のdancyu祭も予定しています。雑誌dancyuが開催し、土日の2日間、普段はイベントに出展されないような有名シェフのブースが出展されますので、楽しみになさってください。(※本イベントは終了しました)



ゴールデンウイーク(4月29日~5月5日)には、ほぼ日の「生活のたのしみ展」も予定されています。お買い物イベントとして、生活をすてきにするものや楽しい発見が三角広場にズラッと揃うので楽しんでいただけるかと思います。(※本イベントは終了しました)

‐‐イベント開催で難しい点

オフィスビルのエントランスを兼ねていますので、テナントさんに迷惑が掛からないように、というのが一番気を遣うポイントです。毎日のオフィス業務に影響がないように、かつ街を訪れる方々に嬉しい賑わいにもなるようなイベントの開催、というところが一番難しいですね。

‐‐西新宿エリアの展開を教えて下さい





西新宿地区では道路・公園・街区を一体的に再編し、ひと中心のまちづくりにとりくみながら、スマートサービスの実装などを進めています。

2022年秋にはいつもと違う、未来の新宿が体験できる9日間「FUN MORE TIME SHINJUKU」というイベントを行いました。平日も休日にもプラスアルファの楽しみを提供し訪れる方々に楽しい新宿を体験していただくため、歩道や公開空地等を活用し、ウォークラリーやシェアラウンジを開催し、多くの方にご参加いただきました。

‐‐西新宿の特異性・可能性



実はこのエリアには、ホテルの客室が約6,000室あります。しかも、インバウンド率が非常に高く、本当にたくさんの方が集う場所になっているので、賑わいづくりや交流が生まれていけばいいなと思っています。

ホテルの方とお話しても、朝食会場がコロナ前の賑わいに戻ってきたとのお話を伺っています。新宿は非常に便利なんですよね。羽田からも成田からも新宿駅まで直通バスがあり、ここを拠点にして高尾山とか遠くは富士山など、観光の拠点になっていると思います。また、大江戸線はミニ山手線のような感じで、神楽坂とか両国、築地という観光名所、六本木や青山というショッピングエリアもカバーしており、非常に利便性が高いことも、海外の方が訪れる理由かと考えています。

‐‐西新宿以外でも公開空地を活用したイベントは行ってますか?

南北線の六本木一丁目を挟んで泉ガーデンと六本木グラントタワーを「泉ガーデン大街区」として開発しており、こちらの公開空地に隣接する桜並木が隠れた名所になっています。こちらを近隣のビルの方々と一緒に、開花時期に合わせてライトアップする「桜祭り」を開催しています。

日本橋の東京日本橋タワーの足元では「大江戸ハワイフェスティバル」という日本とハワイの文化交流イベントも行っていました。

三角広場をはじめ公開空地では、たくさんの方が行き交われる色調を利用した賑わいイベントを開催しています

‐‐いえらぶGROUPの本社は新宿住友ビルに入っています。いつも出社・退社時に通る三角広場は色々な催しをしており、以前の空地とは見違える魅力を持っています。50年前に建ったビルを全く新しい形にした住友不動産、そしていよいよイベントが目白押しになってきた三角広場から目が離せません。最新のイベント情報は下記のサイトよりご確認ください。

三角広場イベントページ: https://www.sumitomo-sankakuhiroba.jp/event/

取材協力

三角広場について

施設名:新宿住友ビル 三角広場
住所 :東京都新宿区西新宿2丁目6−1
アクセス:都営大江戸線 都庁前駅・東京メトロ丸の内線 西新宿駅 直結
サイトhttps://www.sumitomo-sankakuhiroba.jp/

住友不動産株式会社について

会社名:住友不動産株式会社
代表者:仁島浩順
所在地:東京都新宿区西新宿二丁目4番1号(新宿NSビル)
設立 :1949年12月
コーポレートサイトhttps://www.sumitomo-rd.co.jp/

いい家選ぶ、いえらぶ
▼あなたはどんな「いい家」に住みたいですか?

いえらぶでは物件や不動産会社の口コミを見て比較できます

よりクリアな情報から、あなたにぴったりの

いい家を選んでみませんか?

「いい家」を探す

この記事のタイトルとURLをコピーする
  • faebook
  • ツイッター

記事一覧へ戻る

Related article関連記事

New article 新着記事