インタビュー
今後の民泊市場を支えるシステム開発を行うmatsuri technologies株式会社様
目次
現在、日本国内で急速に需要が高まる民泊市場に特化し、民泊事業を支えるためのシステム開発を行うmatsuri technologies(マツリテクノロジーズ)株式会社様。
今回は、こちらの吉田CEOにお話を伺いました。
ITを始めたきっかけは震災とスティーブ・ジョブズ
―吉田様がIT関係のお仕事を始められたきっかけを教えてください。
吉田:私が実際に創業したのは2013年ですが、それ以前の2011年頃から、実際に自分でソフトウェアを作ったりしていました。それを作るきっかけとなったのは、東日本大震災です。当時私は大学1年だったのですが、震災の影響で授業が始まるのが遅れて、その間に始めました。
あと、その時1番かっこいいなと思っていたのがスティーブ・ジョブズです。彼が作ったiPhoneを皆使っているというのがまずすごいですよね。
それと、彼は大学に行っていないし、性格も私に似ているなと(笑)。そんな共通点を発見した流れで「じゃあ、自分も何か作ってみるか」と思いました。
そして、次に大きな機会が回ってきたのは2013年です。
KDDI∞Labo(無限ラボ)というアクセラレータをご紹介され、「これをやらないか」とお誘いを受けたんです。その時に、女性向けのキュレーションアプリ開発をやることになりました。
その後は事業を売却していくつか製品作りながら、最後は民泊に辿り着いたという感じですね。
―そこで民泊に目を付けられた理由は何だったのでしょうか?
吉田:その当時は民泊がすごく盛り上がっていましたが、それ以前は転貸の許可が取れている物件がほとんどありませんでした。それでは建付け的に厳しいので、私たちが運営するのではなくて、民泊によるカスタマーサポートを受けられるようにしたんです。法律を遵守した上での部分委託。そういった形でカスタマーサポートから開始したのが、最初のきっかけです。
民泊が市場として面白いなと思うのが、訪日外国人の方が右肩上がりで増えている点なんですよね。2016年は2400万人で、政府は2020年の訪日外国人数を4000万人と見込んでいますが、そうすると民泊も同じだけ物件数の需要が高まることは間違いないと思います。
東京オリンピックが開催される2020年に、見込み通りの4000万人を達成するためにも、二毛作民泊として年間180日は民泊で、残り185日はマンスリーとして利用すると良いと思います。
私が民泊新法を良いなと思っているのは、立地に関わらずどこでもできる点です。例えば、よく分からない場所にホテルを建てるのであれば、渋谷から徒歩2分の民泊施設に泊まった方がいいですよね。
これまでは、法律や営業形態でホテル・民泊・短期賃貸と分けていましたが、重要なことは立地が良い場所に家具付きで短期で宿泊できる場所を作ること。これが民泊や短期賃貸の本質ではないでしょうか。
新しい法改正やシステムによる効率化によって、ホテル・民泊・短期賃貸の市場が融合してきているのが現状だと思っています。
日本の民泊市場で10%のシェアを誇る
―続いて、matsuri technologies様の概要と、御社の『nimomin』という商品がどういったものなのかご紹介ください。
吉田:まず、matsuri technologiesという会社についてですが、民泊に特化したカスタマーサポート事業・民泊管理のSaaS・民泊×マンスリー運用プラットフォームを主に行っています。
民泊はフロント業務が無いので、お客様が宿に来る際のお問い合わせに関するカスタマーサポートを行っていますね。
それと、私達が行っている民泊管理システムの管理物件数は、現在5000室です。これは民泊市場では10%のシェアを誇っていて、日本最大級です。そして最近は、Airbnbと開発契約を締結させていただきました。Airbnb関連の会社は日本に300社ほどありますが、そのうちの6社がこの開発契約を結んでいます。
続いてnimominですが、これは民泊とマンスリーを運用するためのプラットフォームです。nimominの特徴は、インターネットで物件管理するため、遠隔で無人管理ができる点です。
弊社のシステムを使っている事業者さんも、これまでは明確な法律がない中で365日貸し出しを行っていましたが、今年の6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)が制定されたことで、1年のうちの半分しか民泊として貸し出すことができなくなりました。
そうすると、事業者さんとしては収益が減ってしまいますよね。しかも結構資金がない場合は、民泊破産してしまうというのが現状です。
ただ、私は民泊新法自体が問題ではなく、オンラインで不動産を貸し出す手法が現在民泊しかないということが問題だと思っています。私達がやろうとしているのは、民泊以外にも貸会議室やシェアハウス・空き土地などをオンライン化して、幅広く貸し出せるように考えています。nimominは、そういった複数の不動産物件を一元管理しています。
吉田CEOが考える民泊事業の課題
―ここから民泊事業が伸びていくために、吉田様が現在1番課題だと考える点は何でしょうか?
吉田:法律に関しては、国交省からパブリックコメントが出ているので問題ないと思っています。課題になっているとしたら、今後大企業がどのように参入してくるのかということではないでしょうか。よくある風説としては、「民泊市場には大企業が多数参入してきて、個人のオーナーさん達はやっていけなくなる」ということがあります。ある意味正しいとは思いますが、今は思っているほど民泊はそんなに儲かりません。大企業が自社で全てやっていたりすると、確実に採算性が合わないと思います
そのため、うまく代行業者さんと付き合って行けるところがないと、なかなか難しいかなと思います。そして伸び続けるために最も重要なポイントとしては、きちんとしたコストカット・売上アップの手法というところで、売上アップの手法はそんなに難しいことではないと思うんですよ。インターネットで集客しているので。ただコストカットに関しては、シビアにやりきれた企業さんしか残らないと思います。
宿泊業の競争は激化していて宿は増えているので、そこにホテルが平均単価を下げてきた場合、民泊もかなり影響を受けると思います。ただ、反対に民泊が値下げをした場合はホテルが影響を受けるでしょうね。そういった意味では、争いが2019年くらいまであると思っています。需要を上回る供給が一旦出て、それが潰れるまでやると。その時に重要なことは、きちんとしたクオリティのサービスを定額でお届けできるかどうか。
私たちはそのために、業務効率化のツールを開発してフィリピンにセンターを置いて、低コストのサポート体制を整えています。
―現状では、不動産会社さんも民泊に対して結構慎重な姿勢の方も多いですよね。
そういった会社さん達に、民泊を促進していくために何か考えていることはありますでしょうか?
吉田:民泊新法は制定されているだけでまだ施行はされていないので、弊社ではその制定の効力化の中で、合法的な物件を弊社でサブリースさせていただくことも可能です。名義は不動産会社さんが持っていて、弊社がサブリースをかけさせていただく。
2016年から人口は減少に転じていて内需がないという状態で、そこを何とかするための新しいリーシングが必要です。
matsuri technologies様の今後の構想
―では最後に、御社の今後の構想をお聞かせください。
吉田:私達としては、このnimominという製品を含めて、不動産業の不透明なところをカットしたいというより、外国人の方が不動産を借りる時に信用情報が取れなくて契約できなかったなど、今まではできなかったことをテクノロジーでできるような客付けをしていきたいですね。
やはり不動産は、人がいるところで価値が上がるものなのですが、人口は本当にどんどん減っていきます。そういった意味では、外から人を呼んでくることも1つの方法です。
私達が扱っている家具付きの賃貸物件というのは、海外では当たり前のリーシングの形なんですよ。海外から来た方・移住された方が現在国内に100万人ほどいらっしゃる中で、外国人居住者の方々にも家具付きの物件を提供していきたいと。外国人の方が来やすい・住みやすい環境と資本を整えることで達成していきたいなと考えています。
―本日はありがとうございました。
ITという視点から、民泊市場や不動産業界を支えるために邁進するmatsuri technologies様。
今後の展開にぜひご注目下さい。
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