インタビュー

新しいワークスタイルを生み出す 三井不動産株式会社様

三井不動産 田口様

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目次

商業施設やリゾート施設など、国内外を問わず多数の不動産事業を手掛ける三井不動産株式会社様。
今回は、こちらのワークスタイリングという新規事業において運営を担当されている川路様・田口様・広報の荒木様にお話を伺いました。

法人向けのシェアオフィスを始めたきっかけ

―御社では、今年の4月から『法人向け多拠点型シェアオフィス』を始められたそうですが、具体的な内容を教えてください。

三井不動産 田口様

田口:当社の主な事業としては、ららぽーとのような商業施設の開発・運営、パークホームズ・パークアクシスのような住宅事業のほか、首都圏を中心としたオフィスビルの開発・運営があります。
そんな中、全く新しい仕組みとしてシェアオフィスを作っていこうということになりました。
このシェアオフィス最大の特徴は、どこでも働けるという多拠点型、どんな働き方でも見つけられるような、そういう新しいオフィスをお客様に提供していくところが1番のポイントとなっています。

―現在稼働されている拠点は何ヶ所ございますか?

田口:2017年7月現在の拠点は18ヶ所です。今回取材でお越し頂いた汐留は10番目の拠点です。他には、立川や豊洲など複数のエリアに拠点がございます。

三井不動産 田口様・川路様

―かなり広い範囲に作られる予定なのですね。

田口:はい。ターゲットとしているお客様は、いわゆるノマドワーカーやフリーランスと呼ばれるような、比較的自由に動ける方ではありません。そういう方々が使えるオフィスはもう既に多数ありますので、逆に我々のようないわばサラリーマンの方に使っていただきたいと考え、法人契約とさせていただいております。契約した企業様が認めた方であれば、1つのIDでどの拠点でも使えるというビジネスモデルとなっています。

―では、1つのIDで30ヶ所の拠点をどこでも利用できるということでしょうか。

田口:スマホのWebアプリサービスを使って簡単に利用可能です。利用のつどQRコードが発行され、これを入口でかざすと瞬時に入館データが弊社サーバーへ飛ぶようになっています。
このデータには、企業名・部署名・利用者名と、利用する施設名と利用日時が含まれています。
この入館データを月次で集計し、毎月ご契約いただいている企業様へ送付し、利用料をご請求させていただく仕組みとなっています。

―利用に応じて費用が変動するんですね。

田口:はい。通常のシェアオフィスですと、月額○万円と利用料が決められていますが、大手の企業様の場合は本社が別にあるため、社外のワークスペースをずっと使うということが少ないんですよね。ですが、外回りに行った時や、火曜日の午前中に家の用事を済ませてからここで仕事をしていくなど、そういう短時間の利用としては需要がありそうだなと感じていました。
実際に技術職の方が、普段は郊外の研究所にいるけど、週に何度か東京へ来る時などにも利用されています。
また時短勤務をされる方が、フレキシブルに働けるように家の近くの拠点を選んでお仕事をされていたりといった感じで、さまざまなケースでご利用頂くことが多いですね。

―『今日は、どこに出社しよう』というキャッチフレーズも良いですよね。
ノマドワーカーやフリーランスの方が利用されるシェアオフィスが多い中、法人様向けのシェアオフィスを始めようと思われた経緯は何でしょうか?

川路:きっかけは、既存の賃貸業が今後変わるかもしれないと考えたことです。
まず、モバイルの普及によってどこででも働けるようになった今、これまで通りのビジネスモデルで本当に問題ないのかという不安があったこと。
さらには育児・介護などの人生の問題で、時短勤務など多様な働き方を希望される方が増えたことも関係しています。
その後『働き方改革』というような言葉が世間に広まる前ですね。
既にノマドワーカーさんが、コワーキングスペースでPC片手に働くスタイルというのは浸透していたので、これが企業ワーカーにも応用されるとしたら、どんなインパクトがあって、どんな事業が生み出せるだろうかと考え、研究を始めました。

シェアオフィスMAP

―実際にご利用されている企業様は、どういった業界の企業様が多いのでしょうか?

川路:当初はIT系の企業様が多数を占めるのでは?と予想していましたが、事業を開始してみると想像以上に多様な企業様にご利用頂いています。
ワークスタイリングは、オープンペースと会議室、個室で構成されています。
自社の会議室が少ない企業様にご利用いただくケースもございます。
自社にはないクリエイティブな会議室でいつもと違った会議をしたいとおっしゃる企業様もいらっしゃいます。

―営業の空き時間にも使えるのは、すごく便利ですよね。

川路:はい。お話を伺うと営業の方の空き時間は長くてだいたい30分~1時間くらいというお話もお聞きするのですが、時には2時間を超えて利用される方もいらっしゃいます。1度お越しになると、それなりにここでの集中作業をしてから次の目的地に向かわれるという感じの方もいらっしゃいます。

利用したい時に自由に使えるシェアオフィス

―三井不動産様が、他のシェアオフィスと差別化するために行っているポイントは何でしょうか?

田口:大きなところでいうと、会議室の予約方法ですね。
会議室を予約すると予約内容を記載したメールが自動送信されるんです。
このメールはスマートフォンでも確認できますので、予約のキャンセルもスマートフォンから行うことができます。他にも、今空いている会議室を検索できる点も強みですね。

一般的な貸会議室という形態は、ほとんどが利用日時の3日前といった形で事前に利用料の入金を済ませていないといけません。また時間枠も3時間~というものが一般的です。
WORKSTYLINGの場合、利用時間に応じて料金を計算し請求する後払い方式なので、先に利用料を支払う手間がありません。
PCやスマートフォンで簡単に近くの空会議室を検索でき、さらに10分単位で会議室を予約することができるという点が、ユーザーの方に非常に喜ばれており、結果差別化につながっているのではないかなと思います。

三井不動産 田口様

―実際に三井不動産様でも、各施設を利用してお仕事をされているのでしょうか?

川路:はい、三井不動産も一利用企業として使っております。4月からの運用を始めましたが、既にヘビーユーザーがいます(笑)。

―それほど利用しやすいということですね(笑)。
ちなみに、現在は何社ほどの企業様がシェアオフィスをご契約されているのでしょうか?

田口:おかげさまで日々ご契約いただく企業様が増えていて、百社単位に近づく感じです。
本当に業種のくくりはなく、色々なところからお声がかかっています。

―4月から始めて2ヶ月ペースでこの数ですと、今後もどんどん増えていきそうですね。
ご契約いただいている企業様は、どういったきっかけでこの取り組みを知って来られたのでしょうか?

川路:開業4カ月前の昨年11月頃から、一部の拠点でトライアルさせていただいたおりました。
我々のビルでテナント様としてご利用頂いている企業様に「こういった新しいシェアオフィスを始めようと思っていますが、ぜひ使ってみませんか?」ということでお声をかけさせていただきました。
そしてご利用された多くの企業様から、ご意見を色々頂戴して反映させ、運用方法や体制を整えてまいりました。

田口:プレスリリースを行った際に様々なメディアに取り上げていただいたことで、初めて知ったという方も多いですね。

荒木:実際ご利用いただいている企業様の声や、企業様がシェアオフィスを利用することで仕事がどう効率化されていったかなど、そういったデータを集めてお知らせすることで、より多くの企業様に興味を持って頂けるのではないかと考えています。

―実際に変化した部分が見られると、すごく面白いですよね。

荒木:はい。メディアの方をご案内すると、シェアオフィスは便利だなとおっしゃって頂くことも多いです。メディア業界の方々は、取材で外出される機会が多く、且つ時間に締切がある方が多いですよね。そのため、取材帰りに一旦会社に戻らず近くのシェアオフィスへ立ち寄って、取材データをまとめることで移動時間が短縮されます。
そういった時間の短縮と業務効率を蓄積していくと、やがて大きな効果となります。そういったデータをまとめて行きたいというのはありますね。

会議の方法を提案する『ミーティング×インスパイア』

―御社では、『ミーティング×インスパイア』というプロジェクトも始められたそうですね。
こちらはどういった内容でしょうか?

田口:これは簡単にご説明すると、新しい会議方法を提案するワークショップです。
昨年の10月と11月に初回のワークショップを行ったのですが、その時に掲げたコンセプトはずっと持っています。

我々はこれまで、ビルを造ることはできても、完成後にそのビルの中で何が行われているのかということをよく解っていませんでした。
共用部のエレベーターについては詳しいかもしれないけど、会議室の中で何が行われているのかについてはあまり専門家ではなかったのかもしれません。ご契約いただいている企業様にお話を伺ってみると、まだまだ会議のやり方を進化させたいという企業様がたくさんいらっしゃったんですね。
一般的なブレスト会議や月次の報告など、一口に会議といっても内容は色々あると思うのですが、世の中には『会議のプロ』はそんなにいません。
そこで、我々が一生懸命知見を貯めていけば、お客様に合った新しい会議方法をご提供できる立場になれるのではないかと考えました。

ワークショップMAP

※利用者に興味のあるコンテンツをアンケート

昨年のワークショップでは、『グラフィック・ファシリテーション』という、会議をしつつ図やイラストを描いて内容を可視化していくという手法を実演しました。話している内容をどんどん絵にしていくという方法を、講師の方をお招きして実践したんです。言葉や文字だけでは伝えきれないことを絵にすることで、会議内容が整理しやすくなると好評でした。
それを11月に、テナント契約を頂いている企業様を中心に「こういう会議のスタイルを体験してみませんか?」とご提案させていただいたんです。
おかげさまで非常に好評で「今後もやって欲しい」という声を頂戴しています。
今後もこのようなワークショップがもっとできないかと考えて、色々挑戦しているところです。

―施設を造って終わりではなく、その中でいかに生産性を上げて効率よく運用するかという、ビジネスコンサルティングの部分も携わるのですね。

田口:はい。会議のテクニックだけでなくて、ビジネスマンのスキルを上げていくような、そういうワークショップもどんどん行っていきたいと思っています。
今までは、ビルという建物のハードとしての付加価値を高めることについてはかなり考えていたのですが、これからは中身であるソフトの価値を高めていくことも考えていきたいと思います。

人と人・人と場所をつなぐ空間づくりを目指す

―シェアオフィスの拠点の増加やワークショップ以外で、今後「これを行いたい」と考えている構想はございますか?

田口:まず、『働くこと』と『場所』がどんどん紐付いてくると良いなと思います。
例えば出張に行く場合、せっかくいつもと違う場所に行ったのに、早く会社や宿泊先に戻って仕事をしなくてはいけないから、現地の美味しい物を食べる時間がなかなか取れませんよね。
それならば、現地のシェアオフィスで仕事を片付けて、空いた時間に美味しい物を食べたり、会いたい方に会うということをしても良いと思います。
我々の強みは各地に仕事ができる拠点を持っていることなので、各地でそういった回遊が生まれるような仕掛けをどんどん行っていきたいなと考えています。

あとは、人と人を結ぶ場も作りたいと考えています。
まだまだトライアル段階ではありますが、汐留の拠点では館内に『コーディネーター』と呼ばれるスタッフが勤務しています。
コーディネーターの役割は、会議で議事録を録ったり、ファシリテーションをしたりグラフィックを描いたり、シェアオフィスを利用される方の業務のお手伝いを行います。
そしてもう1つの役割が、シェアオフィスを利用されている方同士の橋渡しです。
ビジネスマンが社外の方と日中に知り合う機会って、意外と少ないですよね。あっても「見積もりを下さい」と言われて持っていくという、本当に機械的に終わってしまうやり取りが多く、お互いのことを知る機会もあまりありません。
しかし、異なる業界の方と知り合いになって人脈が増えると、ビジネスの幅が広がるんですよね。そのために、このシェアオフィスが人と人をつなぐ場所になれたらいいなと。

三井不動産 田口様・川路様

そこでコミュニケーターは、例えばシェアオフィスでお仕事をされている方がコーヒーを飲んで気分転換をしている時に、「よくお見かけしますね」と声をかけ、そこから色々お話をして、その方がどういう業界の方と知り合いたいのか伺い、頭の中のデータベースから該当する方をピックアップします。
そして「実は今日たまたまそういう方がいらしているんですが、良かったらお話してみますか?」と、ご紹介をさせていただくんです。
そこで紹介された方同士がお互いの情報を交換すると、ネットで調べても出てこない情報を得ることができます。そういう情報が10分くらいで得られると。
普通はその10分のためだけにわざわざどこかに行って、話を聞いたり人脈づくりをされる方というのもいらっしゃると思うのですが、もし仕事の合間の10分でそういった情報にたどりつけたり、人脈が広がればそれは付加価値になるのではないかなと思います。
これは拠点がある我々の強みなので、ネットの企業や情報メディアを扱う企業とは少し違うなと思っています。それが演出できるともっと付加価値を高められると思っています。

―本日はありがとうございました。
これまで培ってきた不動産のノウハウを活かし、新しいワークスタイルや付加価値を見出すことを積極的に行っている三井不動産様。
今後もどんな新しいことをご提案されるのか楽しみです。

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